2017年10月22日日曜日

出張に持ってきた靴

3か月ほどの長期出張(単身赴任)になりましたので、靴をいくつか持ってきた。


ラインナップ
・リーガル 01DRCD
・リーガル W134
・シェットランドフォックス グラスゴー
・シェットランドフォックス インバネス
・RENDO R7702
・ショーンハイト SH111-4

期間を考えるともう少しあってもよいと思いつつ、靴だけで段ボール1箱近くなってしまったのでとりあえずこんなところで。
それほど深く考えて選んだわけではないものの、この顔ぶれがいまのレギュラーといえる。

出張先は東北地方で、毎日徒歩通勤で片道2km弱歩くことを考えると、足に馴染んでいて歩きやすく、リペアの情報が豊富で、天候をあまり気にせず、降られたり汚れたりしたら気軽に洗うことができる靴をチョイスしたのだと思う。

まぁ、宅配便で発送すれば何足でも持っていくことはできるものの、仕事での期間限定出張なので履きこんだ靴を中心に少数精鋭のほうがいいのかなと。
雨に降られた時の乾かし期間を考えると、やはり一週間分をカバーするくらいはあったほうが良いのではないかと思う。


リーガル01DRCDはやっぱり外せない最有力候補。
この靴は僕にとって全天候型で長時間歩くことも苦にならない完璧な靴。
ソールが薄めかつ減ってきているということもあって、地面の凹凸を感じやすい一方で、返りがとても良いので平坦な道を歩くには十分。
つややかなアノネイ社ベガノカーフはちょっと改まったところに出席するときにも安心。
オールラウンダーな万能靴。


W134はプレーントウの定番デザインで歩きなれているというところが大きい。
クリーム比較をしていることもあり趣味用として持ってきたに近いかも。
パターンオーダー(BOS)の木型を使った既成靴ということもあり、ベーシックなデザイン。つま先はタイトだけれど、かかとがやや緩めの日本的ラストということもあり、01DRをはじめとしたベガノモデルの取り扱いが増えているため、やや取り扱いが縮小傾向にあるような気がしないでもない。
雨に降られると塩を吹くことが大きなって来た気がするも、クラックなどは発生していない丈夫な靴。


グラスゴーは実は長時間歩くといろいろ痛いところが出てくる靴ではあるものの、日中履いていて意識をさせない気楽な靴。
濡れてから中途半端に乾いてくると結構固い革なので、主に晴れの日向け。
グラスゴーは懐の深いラストなので合う人も多かったはずなのに、アッパー素材のチプリアが酷評されることも多く、そのためにディスコンになってしまったのかなと思う。
そろそろオールソールが見えてきたころなので、この3か月よく歩いて減ってきたら考えよう。


インバネスはこちらも定番かな。
実は長時間の歩行には少し小指が痛くなる靴ではあるものの、甲周りのフィット感が気に入っているので持ってきてみたというところ。
持ってくることができる靴が限定されている状況だと、おとなしいデザインのこれは外せないんだよなぁ...


RENDO R7702 はフィット感重視の歩きやすい靴。
足にダメージが出まくりだった購入当初からは想像もできないほど履きやすく変化して、ひもをぎっちぎちに締めたときの足との一体感といったら、ほかの靴と一線を画する。
雑誌などで英国靴屋がひもを痛いくらいに締めて足と一体化させることを試みるという意味が分かる。
フィットした後のRENDOに比べると、他の靴はきつめを選ぶとどこかに無理なテンションがかかってしまっていると感じることが多い。
欲を言えば甲が全体的に3から5mmくらい小さいといいのだけれど。


ショーンハイトはビジネスシーンの有力選手。
ソールが厚いのでちょっとくらい雨の中歩いても靴下が濡れることがほとんどない。
一の甲、二の甲あたりは少しゆとりがありすぎるかな、と思いつつ三の甲で締めるとなぜかフィット感があるのが不思議。
ネットを見てもその良さを書かれている方がたくさんいますね。リーガル2504NAのスムーズレザー版のような感じも受け、今後も永い間支持されていきそうな予感。


持っていくか迷ってやめた靴もある。
お手入れがきちんとできるかわからなかったのでブローグ系はお留守番。
タイトフィットが過ぎて長時間歩行が苦行になるような靴もお留守番。


シューケア用品はブートブラック(黒蓋)とM.モゥブレイ。
サフィールノワールクレム1925は蓋が割れてしまったため今回持ってくることはやめて、しばらくはからぶきのみのお手入れ中心にしようと。
1年位前にあまり品のないスチール蓋に変わったので今後はそういう心配は少ないのかな。
(それにしてもあの蓋は何とかならかなったのか。過去のに見慣れているせいか、とても中途半端な感じに見えてしまう。100円値上げでももう少しデザインにはこだわってほしかったな)

デリケートクリーム、乳化性クリーム、ワックス、ソールコンディショナーにブラシを持ってくるだけでも結構な量。瓶が割れたときのリスクを考えて、コバインキとレノマットリムーバーは置いてきた。今思えばコバクレヨンを持ってくればよかった。
最低限ニュートラルの乳化性クリーム一本あればとりあえず事足りるものの、このあたりは趣味なので。


持っていく靴に限りがある中で選ぶ靴は、自分にとってはビジネスシーンでのスターティングメンバー。こうしてみるとやはり定番のデザイン、適度な価格帯、修理の容易さって靴選びにおいてとても大切な要素だと改めて感じる。
そのうえで、自分の足に合った靴ならば、晴れでも雨でも余計な心配をしないで一日中ビジネスに集中できる。お手入れの勘所もわかっているし、最悪ダメになってしまうことがあっても買い替えることもできる。定番の強味はここにある。


最近は台風が近づいていることもあり雨天の日が続いている。
一足ずつ靴が濡れて乾かしモードに入っているのだけれど、1週間あれば乾くし、今のところはこれだけあれば大丈夫かな。
出張して気が付いたけれど、1日に歩く平均的な距離数が多くなるほど雨の日専用の靴というのも意味があることも分かった。どちらにしても乾かさなくてはならないものの、やはり靴下が濡れるのは気分的によくないし、お客様先で靴を脱ぐようなことがある場合はなおさら。ラバーソールがその一助になるなら持っているべきかな。

2017年10月11日水曜日

Schoenheight SH111-4 1年10か月

ショーンハイトの SH111-4 を購入してから2年弱。
晴れの日も雨の日もあまり気にせず履いてきた。

左足をM.モゥブレイ系、右足をブートブラック系でのお手入れも継続中。
おおまかなところで言えば、最初に受けた印象のまま継続といったところ。
見た目の味付けは違えど、柔らかさや保革といった部分は大差が無いようだ。

1度洗っている時点でクリームがリセットされていることもあり、結果として「劇的に左右が違ってきた」という多くの人が期待する結果になっていないのがなんともというところ。

M.モゥブレイを塗っている左足。

こうしてみると、M.モゥブレイは素材を活かすような仕上がり。
べとつくようなこともなく、SH111-4に使われている素材の特徴であるさらっとした表面の仕上がりをそのまま残すような感じ。
ワックスを使う下地としてには余計な蝋分入れないので良いのではないかな。


ブートブラックはそれ単独で完結するような仕上がり。

ブラッシングを丁寧にしてからぶきするとそこそこ光る。
保革しつつも一定の光具合がほしいというときは便利かな。
靴のお手入れ自体が趣味な人は別として、できる限り時間をかけずに光る効果を得たいというときにはいいかもしれない。

ちなみに僕はM.モゥブレイよりもブートブラックを使うことが多い。
特に国産キップでしわが大味に入るようなものにはコレ一択。
ワックスをほとんど使わない僕にとっては、一本でそこそこ光るブートブラックは使い勝手が良い。


ソールに関しても機能的に大きな違いを感じられないというのが本当のところ。
(僕は鈍感です)

ショーンハイトのレザーソールは意外に丈夫。
週1程度、晴れの日も雨の日も比較的酷使しても、つま先はもう少し持ちそうだし、ヒールもまだまだいけそう。
ソール全体がもともと厚いということもあり、レザーソールであっても雨の日でもソールの摩耗を気にしないでも良さそう。

というか、雨の日に履いたことでエラく摩耗をするという印象は無いのだけれど、本当にヤスリがけのように減るのだろうか?
コバのお手入れで軽くヤスリかけると結構削れるけれど、そんな感じでソールが減っていく感じは受けない。

減るのって雨の日に歩くからではなくて、一度濡れてふやけたものが乾燥したことでひび割れやささくれを起こし、その状態でアスファルト歩くからではないのだろうか。

左足はM.モゥブレイのソールモイスチャライザー、右足はブートブラックのレザーソールコンディショナーを使い続けた限りでは、減り具合に大差は無いように見える。
滑り具合とか履いた感じに関してもそれほどの差を感じない。どちらかが明らかに滑るということもなければ、どちらかが水が染みてきやすいと体感的にわかる程でもない。

唯一違いがあったのが元のステインへの影響。M.モゥブレイは濡れてもあまり変化がない一方で、ブートブラックはシミが出やすい。

M.モゥブレイのソールモイスチャライザーを使っている左足。

ブートブラックの右足。

以前、RENDOのソールもステインが雨に弱いという印象を受けたけれど、ひょっとしたらブートブラックのソールコンディショナーの影響もあるかもしれない。

単に個体の問題かもしれないが、ソールにこった仕上げがしてある場合はM.モゥブレイのほうが安心かな。


1年10か月ほど履いて、2泊くらいまでの出張の時などはコレ1足なんてときも結構あった。それなりにヘビーユースをしたのではないかと思う。

いまのところ解れたり破けたりということはない。しっかりと作られていることがわかる。
インソールも擦れるところが少ないのか、比較的きれいな状態を維持している。
よく起きがちなかかとの擦れがないことからも、ショーンハイトのかかとのつくりはややゆとりがあることがわかる。

しわの入り方は僕が知る2015年頃の国産キップよりはややマイルド。
リーガルのW131とRENDOはほぼ同じ傾向の太めのしわが入る。ショーンハイトのSH111-4は同系統ではありつつも、やや穏やかに入る。
クリームがきちんと入った状態では結構柔らかくなるため、指に刺さるような感触もない。

ちょっとばかりゴツい見た目なのに、履き心地はとても良い。
タイトな履き心地ではなくあまりきつくない履き心地。ソールの返りもよくて、かかともついてくる。
RENDOが甲全体とかかとでフィットするような履き心地とすると、ショーンハイト(のSH111-4)は三の甲あたりでフィットさせてあとは自由にしているような。結果、タコができることも無い、足にやさしい靴という印象。


靴を大切に履くことはとても重要ではあるけれど、「大切」が天気を気にすることだったり、満員電車でヒヤヒヤするということであれば僕にとってはオーバースペック。

ショーンハイトのレザーソールシリーズ(税抜き2万円のライン)は靴に必要以上の意識を持つことのない、道具としての重要なポイントがしっかり押さえられた靴。
そのポイントの一つの理由に価格があるわけで、この価格だから雨の日も気にせず履けたり、水洗いする勇気が出ているこということも事実。2万円という制約の中で、スムーズレザーを使い、ソールもレザーのグッドイヤーウェルテッド製法。
リーズナブルな価格でリペアができるため、ソールの減りを気にするよりも、どんどん履いて仕事に集中できる靴。

素材一つひとつを細かく見たり、ソールの仕上げにおける手のかけようなど10万円の靴と比べて足りない部分をあげることはいくらでもできる。
だが、同じ価格帯でショーンハイトと勝負できる靴はほとんどないのではないだろうか。
雨の日も晴れの日も気軽に履けて、お手入れの楽しさも感じることができる。愛着がわいたら修理をして永く付き合っていける。極めて実用的な部分で他社との差別化されているオンリーワンの靴。


最近(でもないか)は浅草にオーダーサロンもできたようで、ここなら素材の変更やらデザインの微調整やらができてそれでも4万円以下って、もう東京近郊の人で木型と足が合うならここで完結できちゃいそうな勢い。
いまはシングルEの木型もあるんですね。サンプルシューズが無いようなので確かめようが無いけれど、甲周りが少しタイトになるのであれば、オーダーでもいいよなぁ。

もちろん、ショーンハイトがカバーできない領域もあるので、それはそれで魅力的な靴はたくさんある。ショーンハイトは結構「ふつうの靴」。だが、その「ふつうの靴」をビジネス展開し、維持していくことは意外と難しい。

「英国の良心」がチャーチなら、ショーンハイトは「日本の良心」の有力候補ではないかな。

2017年9月28日木曜日

おひさしぶりです

1年以上ぶりに更新しました。

いろいろとありまして遠ざかっていましたが、今後またぼちぼち書き始めてみようと思います。

この間、コメントいただきました方にはお返事が遅れてしまったことお詫びいたします。
また、せっかく訪問していただいたのに記事が更新されていなくてつまらない思いをさせてしまった方にもお詫びします。



今月、01DRCDを修理に出しました。

「修理費用いくらくらいだったかな?」

とおもって検索をしたところ、懐かしい名前がたくさん検索に引っ掛かりました。


Life Style Image の鈴木さんは出版されているし、Google+のコミュニティ「靴好きもそうでない人も、革靴について話そう。」も494人(2017年9月28日現在)もの参加者のコミュニティになっていたんですね。

懐かしくなって最近の記事からずっとさかのぼって読んでみました。
造詣が深い方の投稿や、活発にたくさんの投稿をされている方など見ていて飽きません。
みなさんの01DRやW10BDJの経年変化の写真もとても興味深かったです。

やっぱり自分はこういう話題が好きなんだなと改めて感じました。


なかでも最も感動したのが Yukimura Hayate さんのブログ「Hayate備忘録」でした。
涙出ました。


やっぱり共通の趣味というか話題がある人たちとの交流っていいものですね。
なんでこういうブログだったりコミュニティだったりといったツールを放置していたのか、まったく情けない限りです。



なんだか暗い反省文みたいになってしまいました。
まいどのことながら一つの記事を書くのに時間がかかるタイプですが、また少しずつ興味のあることから書こうかなと思っています。

2016年5月22日日曜日

Schoenheit SH111-4 2nd Report

ショーンハイトを購入してほぼ5ヶ月経過。


この間だいたい週に1回くらい履いているので20回ちょっと履いた後の感想。

履き始めに柔らかい感じを受けたけれど、それはそのまま継続。不思議と痛くなるところがない靴。
いままで購入時キツ目の傾向があったのでたいていの靴は靴ずれしたりマメができることが多いのに、この靴はいまのところそういったことが無い。
足首に近い三の甲できっちり締めて、それより先の部分にゆとりがあるためなのか、ソールの反りが厚手の割には比較的柔らかいためなのか明らかに他の靴に比べてダメージが少ない。履き口が小さい分、全体的な緩さを感じないということもあるかもしれない。

何度か小雨に振られたり、濡れた路面を歩くことがあって気がついたのは、ショーンハイトのこのレザーソールは湿っていると結構滑る。特にソールにブートブラックのコンディショナーを塗った右足側は滑ることが多く、水分を含んだ状況で摩擦係数が少ない路面を歩くのは注意が必要かも。

アッパーのキップは意外にしわが綺麗に落ち着いてきた。
リーガルのW13xやRENDOに比べると明らかに繊細なしわが入るため、見た目だけで言えば質が高く感じる点は高評価。クリームはあまり多くは塗っていないので、表面の凹凸感は残るものの、単に「丈夫そう」だけではなく、しなやかさな感じも残っている。

この靴は左右でクリームを分けている。
左足のM.モゥブレイシュークリームジャーは極めてフラットな感じ。


買った時の状態に近い。
このクリームはワックスで仕上げることを前提にしているか、そもそも靴にあまりギラツキが必要ない(保革を重視)する人向けかな。

一方でブートブラックは評判通りギラツキ感が強く出るクリーム。


クリームを入れた直後は結構差がでる。
しばらく履いて乾拭きだけを繰り返すと、やや光沢という観点では落ちてくるものの、様々なワックスを入れて光らせることも目的にしているクリームという感じ。少し塗りすぎるとビーワックスなどに特有の乾拭き時の引っ掛かりとムラが出やすいので、意識的に薄塗りする必要がありそう。

ソールが厚めなのと、まだそれほどすり減っていないということもあり、今のところ多少の雨(土砂降りではなくて)くらいだと靴の内部に水が侵入してくることも無い。
ソールも雨に濡れても削れやすいという印象は無いので、耐久性もあるのかもしれない。(ここはまだ良くわかっていないので、あくまでも「気がする」レベル)

ショーンハイトは見た目や履き心地の方向性は、最初の革靴には最適かもしれない。
よくありがちなEEEやEEEEなどのぽってりとした靴に近い外見は、細い靴を怖がる人にも安心感を与えそうだし、ふわっとした柔かい履き心地は革靴に慣れていない人でも我慢できる範囲にあるような気もする。
ラバーソールなら税込み2万円以下という価格も、2504NAよりも押さえられているし、それでいてスムーズレザーでお手入れの楽しみもある。
靴は試履して買うのが大前提とはいえ、リーガルで言えば2504NAあたりとサイズ感が近いと思うので、返品覚悟の通販で買うならば、あまり外しがないような気もする。

靴が大きく沈み込むというのもなんとなく無さそうなので、次回はボックスキップの既製かオーダーかな。

2016年5月21日土曜日

想い出の靴 - Johnston and Murphy LD17 -

もう20年くらい前の話になるけれど、就職活動を終えて仕事のために買い揃えた靴のひとつ、ジョンストンアンドマーフィーのLD17。


もう履くことは無いと思うのだけれど、この靴もどうしても捨てられなくて手元に残っている。参加しているGoogle+のコミュニティ「靴好きもそうでない人も、革靴について話そう。」でクロケットアンドジョーンズのノーウィッチの話が出ていたので、そういや外羽根キャップトウなんてあったなと、なんとなく思い出して箱のなかから出してみた。


しまう前にいちおうていねいにお手入れしておいたつもりなのでカビが生えるようなことはなかったけれど、表面に少し塩が吹いていたり、シミが出ていたりで、正直最近お手入れ良くしている靴を見慣れているせいか、なんとなくボロい靴に見えてしまった。(まぁ、実際酷使したのでそれなりにダメージがあるのだけれど)

当時はリーガルがジョンストンアンドマーフィーのライセンス生産をしていたので、地方都市で働いていた僕は地元のリーガルシューズで購入。確かレザーソールのこのシリーズはやや高い方のグレードだったような気がする。

簡単にブラシをかけて、軽く油分補給程度のクリームを入れてみると、革の実力なのか意外と簡単に艶が出てきた。
クラックも無いし、大きな傷もないので革の状態はまずまずというところだろうか。


当時は今ほどロングノーズが流行っていなかったので、全体的に丸いデザインをしている。手元の01DRCDと比較してみるとかなり短いし、つま先の造形もラウンドトウという感じ。


左は01DRCD1サイズ24、右はLD17サイズ7。LD17のほうがサイズが大きいのに、全体の長さはやや01DRCDのほうが長い。
それにしてもこうして並べて写真を撮ってみると、20年の歳月を感じないこの艶やかな感じには驚く。(しかも10年以上ほったらかしなのだから)

この靴は社会人1年目に買った靴ということもあり、靴べら使わないで履くことも多く(紐は締め直すくらいはやった)、お手入れの仕方もわからずクリームを塗りたくったりしたこともあって、ややボロが目立つ。
一方で、当時はサイズのことも何もわからず、やや(というか今思えば結構)大きなサイズだったので、その後履くことが殆ど無く、結果としていつまでも捨てるほどダメになることもなく今に至る。

もし僕に息子がいたら履けるようなタイミングになった時にこういう靴を渡したいな。
どうせ履かないのだからダメにしてもらっても結構、というかそのくらい活躍すればこの靴も本望だろうし。

革靴は最初いくらかちゃんとお手入れすれば、かなり長い間良い状態をキープできることもわかった。
この靴は後半10年くらいは履いていないので、履き続けていたらどういう状態かということはわからないけれど、少なくても最初の10年くらいは持ったし、その後10年ほったらかしでも今また履こうと思えば履ける状態にある。革靴ってかなりロングスパンで使える道具なんだなぁとあらためて実感したのでした。

2016年2月7日日曜日

靴クリームの比較 - Boot Black と M. Mowbray -

ブートブラックとブートブラックシルバーラインの比較に次いで、同時並行第二弾を始めてみました。

靴のお手入れ方法なんてもう百年以上も変わることは無いのだろうけれど、情報の発信者が、より広く多くの情報を容易に届けることができるようになった今の時代では、より多くの情報を付加した新商品を開発していかないと競争力が落ちてしてしまうのだから販売者も大変だと思う。

もちろん、科学技術が発達することで今までよりもより良い商品が開発されることもあるだろうし、高付加価値商品を開発することはビジネスとして正当な行為なので、市場が活性化することはいいことだと思う。一方で新商品については売り手と買い手の情報格差があるため、新しい商品の真のメリットはわかりにくい。なんとなくプレミアム感を与えて、かつあまり意識しないで買うことができる数千円という価格設定は絶妙である。

また、あまりにも商品が増えてきて、お手入れに興味が無い人に取っては余計に面倒さが強調され、何をやれば良いのかかえってわかりづらくなっているのもあると思う。

僕は新しいものが出ると使いたくなるミーハーなので、こういう新商品が出てくるとついつい欲しくなってしまう。けれど、新しいクリームを買っても、それを使い続ける靴が無ければ結局は使い道がないし、いまでも数年はクリーム買わなくても大丈夫なくらいあったりもする。
よく言われる「米粒数粒」しかクリームを使わなければ、毎月お手入れしても一足あたり年間で米粒100粒分も減らないわけで、ひと瓶使いきるのはなかなか大変。

そんなあまたに出てくる靴お手入れグッズの中で、定番としてこれから先も残ってほしいなぁと思うものがある。

「M. Mowbray シュークリームジャー」と「Boot Black シュークリーム」

M. Mowbray(以下「モゥブレイ」)はかつての英国王室ご用達であった旧メルトニアンの流れをくみ「欧州の靴クリーム作りの伝統と品質、こだわりを現代に受け継いで」いる定番クリーム。日本のR&D社が旧メルトニアンのレシピを求めて再現させたクリームということで、古くからの靴好き(特に英国靴好き)に人気がある。
永い間使われ続けているということは、それだけ多くの靴に使われ、その経年変化による影響の実績が証明されているわけで、雨後の筍のように出てきた新商品よりはずっと安心感がある。

Boot Black (以下「ブートブラック」)は日本のコロンブスが(恵比寿のリファーレの協力を得て)「その知識と開発力を集結して作り上げた」渾身のクリーム。日本では大量に使われる仕上げ材や長年にわたる製造販売の経験が投入された新商品。職人の知識や技術の蓄積をきっちり均一な製品に仕上げてくるところが日本の製品っぽい。極寒の地でも固まらないとかテレビでやっていた。この製品発売以降、百貨店におけるコロンブスの扱いが変わっている気がする。

どちらも百貨店やネットで購入でき、また国内革靴ブランドでもお手入れ用品として推奨されている。(モゥブレイは山陽山長やRENDOなど、ブートブラックはスコッチグレイン)

「おまえはいつもクレム1925を使っているだろうが!」
という声が聞こえてきそうですが、これはもう独自のポジションを確立しているので100年後も相変わらず存在していると思います、ハイ。


今回は、そんなふたつのクリームを比べてみようかと。

All About の飯野さんの記事によれば、モゥブレイは「やや青み、緑みがかかったダークグレイ」、ブートブラックは「モゥブレイよりは青みの少ないニュートラルかつしっかりとしたダークグレイ」とのこと。実用品としての靴に対するお手入れは「細けぇことはどうでもいいんだよ!」という話もあるけれど、お手入れ好きとしてはこういう違いを見るのが面白かったりするわけです。

ところで、よく雑誌などでは「養分が~」とか「施術が~」とか書かれているけれど、皮革製品になった時点で生き物ではないのでこの比喩にはやや違和感を感じる。(この辺は感覚の問題だけれど、特に施術って言葉はなぜか見ている方が恥ずかしくなってしまう)

なんとなく革(レザー)を人間の肌(スキン)と混同させることで、天然素材・成分が良くて、化学合成されたものが良くないものという印象を与え、高いものを売る理由を作っている気がする。
以前、ある化粧品メーカーの人が言っていたけれど、合成のシャンプーと天然素材のシャンプーで、化学式レベルまで見ていくとそれほど差がないものを作ることはできるし、合成はきちんとその効果と安全性を確かめている。天然素材は科学的に解っていない効用もあるだろうから否定はしないが、盲目的に天然素材というだけでよいと思ってしまう人が多いのは技術者としては残念であると。

そもそも皮が革になる過程を考えれば、顔に塗っても問題ないクリームである必要性がないことはなんとなく想像できる。むしろ革(レザー)肌(スキン)を混同することで、本当に革に必要なモノを与えることができなくなっている可能性だってある。
永い間使われているレシピよりもこれまで靴クリームを手がけていなかったメーカーが「人間のスキンケアに使われている天然素材」を作って作ったクリームが本当に良いのか。靴磨き屋さんが素手で塗りこんでも皮膚に優しいという理由はあるだろうけれど、そもそも僕のような素人には優位点がよくわからない。

給油、給水、補色のバランスと、履かれた状況(暑い寒いや雨に降られたなど)、汚れの除去、保管の状況(風通し、光、温度、湿度)の相互作用が経年変化ではないかと思うし、であればある定点での特定の項目で優劣を論じるよりも、長期戦の比較結果があったら面白いのになと思う。

そこで、まず自分でやってみようということで、最近購入した靴で試してみることに。個人の興味ベースなので一般消費者が気づく程度の目線で。(違いが判るプロがやったら相当面白いだろうなと思いつつ...)

今回使った靴。
ショーンハイトSH111-4(レザーソールモデル)
素材は国産のキップ。購入時点ではあまりクリームが入っていないと思うのでちょうどいいかなと。
靴を買って、初めてクリームを塗る段階から分けてみた。

左足はモゥブレイ
・M.モゥブレイ デリケートクリーム
・M.モゥブレイ シュークリームジャー(ブラック)
・M.モゥブレイ ソールモイスチャライザー
を使う。

右足はブートブラック
・ブートブラック デリケートクリーム
・ブートブラック シュークリーム(ブラック)
・ブートブラック レザーソールコンディショナー
を使った。

デリケートクリームは新品の状態の時に使ってみた程度でふだんは乳化性クリームのみ。またソールはそれぞれのコンディショナーを使って体感的に違いが出るのかを。
ちなみに僕は鈍感なので細かい違いは判らないと思うけれど、それでも気が付くほどの違いがあればやっぱりそれはクリームの特徴なのだろう。


ここからはいつもの購入時のお手入れに近い感じでスタート。
ショーンハイトのこのモデルは仕上げにワックス等は使われていないようなので、タオルにもあまり色が移らない。比べる前提としてはちょうどいい感じ。

まずはデリケートクリームを軽く塗る。
M.モゥブレイのデリケートクリームは独特の香りがする。しばらく使っていなかったけれどなんとなく懐かしい香り。水分が多いこともあり、塗っている途中では表面が濡れるような感じになる。ワンテンポ遅れて浸透していく感じ。
一方のブートブラックは昔のチューブ糊みたいな感じでプルプルとした感じであまり香りはない。比べてみてわかったのだけれど、ブートブラックのデリケートクリームは驚くほど浸透性が高い。塗っている傍から浸透していくので最初は布にクリームがついていないのではないかと一瞬思ったほど。またどこまで塗ったのか判りにくい。でもこれすごいな。


そのあと、左足はモゥブレイ、右足はブートブラックのクリームを入れる。ここでもブートブラックは明らかに浸透が早い。いくらでも入りそうな錯覚を受けるけど、実際に同じくらいの量を使うと、最後に表面に残る皮膜はモゥブレイと同じような感じ。

ちなみに、新品の靴だとクリームがよく入る。今回は薄塗りを繰り返し、いったん革がおなか一杯になるくらいまでクリームを塗っている。塗りすぎの是非はあるにしても、履き始めは多めでも良いのではないかという気分的な問題。ウェルト部分には小さなブラシで少し多めに塗りこんでおく。

クリームの後は豚毛のブラシを軽くかける。ブラシは今回それぞれのクリーム用に2つのブラシを新調した。

最後にソールにそれぞれのコンディショナーを塗る。
新品なのでソールに処理がされていることもありあまりクリームが入らない。一度クロスにとってから強めに塗りつける。
モゥブレイはラノリン主体のクリーム。濃い目のデリケートクリームみたいな。歯磨き粉のジェルのような形状保持するクリーム。勢い余って出過ぎることが多い。一方のブートブラックはオイルに加えて防カビ剤配合など日本の靴箱の状況を踏まえているのかなと思わせるトロッとした乳液。
塗った感じはモゥブレイのソールモイスチャライザーはステインの色を結構落とす。

モウブレイを塗った直後。全体的にステインが落ちる。

ブートブラックもやや落ちるが、モゥブレイ程でもない。

翌日もう一度軽くブラシをかけてから仕上げにクリームをていねいに塗りこむ。
クリームが良く入る部分には気持ち多めに、入らないところはごく薄くと調整しながら全体に塗りこむ。
クリームを塗り終えたら、片足3分くらいのブラッシング。

最後にクロスで片足1分くらい気持ち強めに磨く(1分と書くと短いようだけれど、仕上げと思うと結構な時間)。

ブラシはとりあえずコロンブスのジャーマンブラシ、クロスはモゥブレイにした。(ここまでブランドごとにそろえようとは思わかなったため、同じ種類のものを使っている)

ここまでのプレメンテで思うのは、ブートブラックの浸透性の良さ。
とにかく革にどんどん吸い込まれていく感じは独特。瓶に入っている状態ではモゥブレイより水分が少ない感じなのに、塗り始めるとサラッと表面から吸い込まれていく。伸びるというよりさらさら吸い込まれていく感じ。
それが逆にお手入れの感覚値がない人にとってはクリーム入れすぎにもなりかねない。なんか塗れてない気がしてしまうので。(これが「プロ用」の所以?)

概ね5、6回くらい履いてクリームを2度ほど入れた状態ではブートブラックのほうが素人目に見てもわかるほど光る。

写真右(左足)がモゥブレイ、左(右足)がブートブラック。ブートブラックのほうが明らかに艶がある。色も少し濃くなっている。これはクリームを塗った直後ではなくて、ふつうに1日履いてていねいにブラッシング、乾拭きした後の状態。これが革の個体差によるものなのか、クリームの特性によるものなのかはもう少し続けてみないと確定できないにしても、思ったより早くから傾向が違うことに気づく。

サラッとした仕上がりで、元の素材感そのままに近い状態をキープするモゥブレイに対して、

やや湿り気のあるような仕上がりになるブートブラック。

クリームを拭きとったクロスは左がモゥブレイ、右がブートブラック(靴の写真と逆)。
確かにモゥブレイのほうが少し青みがある。ブートブラックはより暖色系に近い黒というところだろうか。

ソールは左(右足)がブートブラック、右(左足)がモゥブレイ。歩き方の癖もあるので削れ具合に差が出るとしても、全体的にはブートブラックのほうがしっかり浸透しているように見える。ただ、僕はどちらかと言うと左足が軸足なので削れが多いだけかもしれない。
履き始めに一度塗って、その後多少削れた段階で追加で塗った結果、体感的にはブートブラックのほうが滑りやすい。

ブートブラックは浸透力が高い気がするので、メンテナンス回数が少ないうちから色に深みが出やすいのかもしれない。またワックスがそれなりに入っていそう。逆にモゥブレイは昔ながらのレシピだから、それほどワックスが無いか、光らせるための役割を過度に期待しない仕上がりになっているのかもしれない。長期で味を出す可能性もあるので、もうしばらく様子を見ていきたいと思う。

また、いまのところ雨に遭遇していないけれど、これから晴れの日雨の日経験することで差が出るかもしれない。今回は長期レポでいこうと思う。


※ブートブラックが「Artist Palette」という油性クリームの新製品を出している。なんか、このパッケージっておもいっきりパクリに見えてしまう。満を持して発表する新製品に対するジャパン・ブランドとしての矜持はどこにあるのかと。これだけデザインのパクリが問題になるご時世に、どう見てもオリジナルとは言いがたいパッケージングはどうかと。しかも本家の瓶形状より高さが低くて口と瓶の幅比が大きいのでクリーム取りづらいのではないのかな。僕はメイド・イン・ジャパン推しだし、コロンブスの技術は信頼しているけれど、これを海外の人に「某フランス製よりも優れている日本の最高級クリームだ!」と紹介するのはちょっと恥ずかしい。


--------
左足はモゥブレイ。もう定番すぎて何も言うことがありません。今回の比較では艶がおとなしめなのでピカピカ靴が好きな人には向かないかも知れませんが、モゥブレイのもとになった旧メルトニアンは「これ1つですべてOK」という人もいるくらい鉄板です。



右足はブートブラック。日本の技術を集めて作った期待のクリーム。程よく光り、革もしっとりとした感じになるので僕は国産キップ系の靴にはよく使います。



今回ポリッシングコットンとブラシも新調しました。差がわかるように今回のレポで使うブラシはクリームごとに分けています。

2016年1月23日土曜日

Schoenheit SH111-4 Plain Toe Leather Sole

個人的にちょっとホットな東立製靴のオリジナルブランド、ショーンハイト(Schoenheit)。
Google+のコミュニティでも購入報告や気になるひとが続出(してると思うの)です。

ショーンハイトのレザーソールモデル、プレーントウ(SH111-4)。ショーンハイトのスペルは正しくは
O-Umlaut なのだけれど、ウムラウトの英文タイプ表記にならってタイトルは Schoenheit と書いてみました。

ショーンハイトはこのブログを記事で紹介いただいている Life Style Image さんで知りました。
ブリティッシュトラッドタイプのレザーソールでお値段21,600円(8%税込)。

値段から入るのはどうかと思いつつも、これだけのインパクトがあるとどうしてもここに触れたい。
革の調達価格が上がったということでどんどん革靴が値上げされる中、税抜2万円ジャストの革底グッドイヤーウェルテッドというだけで驚き。スムーズレザーを使った2万円台のレザーソールとなると東南アジア製が一部あるくらいで国産ではなかなか見当たらない。よく「革靴は3万円台後半から」みたいな話が言われる(僕もそう思っていた)けれど、そんな定義を覆してしまう。
キャップトウ2足とプレーントウ買って税込65,000円って、シェットランドフォックスの新作ブライトン1
足とほぼ同じ。ラバーソールだともっと低価格。10万円あったら5足くらい買えてしまう。デザイン違い、色違い揃えていきなり一週間のワードローブ完成もそう大きな話でもない。山陽のボックスキップを使った既製モデルで税抜29,000円。

日々多くの靴を生産する過程で蓄積された調達・製造のノウハウをいかんなく発揮してできた靴。工場直販で店舗維持費用がかからないとしても、在庫はある程度(各サイズ1足くらい)確保されているみたいだし、オンラインショップの管理や発送、問い合わせ対応などの人件費は劇的に変わるわけではない。大手ファクトリーとしての材料の調達や繁閑調整、人員の効率的な活用によるところは大きいと思う。

僕は靴をネットで購入することはほとんどない。同じメーカーでもラストが違うと同一サイズでも履き心地は全然違うことがあるし、お店できちんと紐を締めて多少歩いてみて足のどの部分にあたるとか、どの部分が余るなどを把握して買いたいということもある。
ショーンハイトのこのモデルはYahoo!のオンラインショッピングか柏市の本社に行かないと手に入らない。散歩がてらに柏まで足を運ぶということで行ってきました。

東京在住の僕は常磐線で南柏駅まで行き、そこからバス。
南柏駅の西口(栄えていない方?)から流山ぐりーんバスに乗って20分弱くらい。野々下4号公園下車で歩いて数分。このバスは土日30分おきなので行きも帰りもタイミングを合わせないと結構待たされる。後から気づいたけどいまは東京駅からJRで乗り換え無しで柏駅まで行ける。柏駅からバスのほうが東立製靴の近くのバス停(笹原)が使える。

今回は土曜日訪問なので本社はひっそりしていた。販売店舗というわけではないので、予め電話で予約して行くと良いかも。土日は人も少ないし、その中で仕事を進めているのだからこちらもある程度の時間を決めていくほうが良かったなと。僕は朝に何時までやっているかだけを確認して適当に訪問したのでその点反省。

目的はブリティッシュ・トラッドタイプのためし履き。

このラスト、オンラインショップの写真を見るとチャーチの173ラストに似ているなと思っていたけれど、実際にチャーチを意識してラウンドトウを作ってみたとのこと。キャップトウのトウ先あたりは微妙に丸長くボリュームがあるという感じで確かにチャーチっぽさがある。とはいえレースステイの位置や足首周りはより小さめに仕上げられているなど、単なるパクリラストではない。ウェルトの目付けによって受ける印象も結構違う。ちなみにこのラストは東立製靴さんのオリジナル。

全体的なサイズ感としては伝統的なリーガルの靴に近い。シェットランドフォックスのインバネスや最近の01DRCDあたりと比べるとハーフサイズ大きい感覚。
左の01DRCDよりハーフサイズ下げているけれど、全長は同じくらい。
捨て寸がある程度確保されているためか01DRCDよりハーフサイズ下げてもゆとりを感じるけれど、これ以上下げると捨て寸に足が入る感じがした。足長が長い左足は意識するとかかと側が当たっている感じがするので全長はこれ以上下げるのは厳しいと思う。二の甲と三の甲はリーガルトーキョーの旧ジョンストンアンドマーフィー型ラストを少しシェイプした感じ。踵周りはややコンパクトにつくられている。
踵から土踏まずにかけて、やや土踏まずの絞りが踵寄りになっているようにも感じる。(気のせいかも)。踵ぴったりに履いているので前のめりしているわけでもなく、僕の足だともう数ミリ前にある方が気持ちいい。

サイズ表記は2E(EE)。ボールジョイントあたりの幅は少しだけゆとりを持たせて(リーガルの伝統的ラストよりは)高さを抑えているやや平べったい作り。キャップトウを試しに履いてみたところ、01DRCDよりハーフダウンしても気持ちゆるい感じがして、沈み込むと羽根が完全に閉じそうな気がした。外羽根プレーントウだと羽根が少し外側に付いているのか、かなりきつく締めても閉じることが無く、1cmくらい開いている。相当沈み込んでも閉じきることはなさそう。幅ふつうで薄めの足である僕には外羽根のほうがフィット感が良い感じ。履き口もやや小さめということも相まって踵と三の甲あたりで締めて、前半部分は縦横ともにゆったりとしている。最近キツ目の靴を履いているせいか、足入れした瞬間は緩い感じを受けたけれど、超時間履いていても緩さは感じられず、むしろあまり靴を意識しない自然な履き心地。緩くもなく、タイトでもなく当たる部分もあまりない靴。全体としては親指側にトウが振られていることも楽な履き心地につながっているのかもしれない。

今回はトライしていないけれど、ロングノーズモデルはややボールジョイント部分に幅をもたせているようなので、僕にとってはフィット感が弱くなるかもしれない。

2日間でトータル30時間くらい、うち1日は結構歩いた後の感覚としては、新品の靴なのに痛い部分が無いに等しい。結構歩くので甲を意識的にキツ目に結んでいても、いつも痛くなる骨が出ている部分のダメージがあまり無い。また、左の小指や薬指も当たる感じが無い。踵は食いつくような感じが無いと思うけれど、擦れもせず歩くたびにきちんと付いてくる。
細かいことを言えば、左足の外側ボールジョイントから踵に向けてのあたりが少し当たっている。ということはこの部分は必ずしも大きくないのかもしれない。
多くの靴が足をガシッと包むような履き心地なのに対して、ふわっとした感じさえしてくる。

素材は「国内タンナー産高級キップ」とされている。
ショーンハイトのオーダーで使われているキップは山陽のグレージング仕上げのキップとされているけれど、こちらはそれとは別っぽい。
初見では表面上にポツポツとした感じで全体的にはサラッとしたフラットな印象。黒々とした黒というよりは表面の凹凸によってやや銀色的な光り方をする。艶はそれほどでもなく、しわはキップらしいやや大味なものが入る。プレーントウ自体がのっぺりしていることもあり、つま先にはワックス入れて黒を強調し、立体的にしたほうが格好良いかも。

ソールはやや厚め。靴のデザインもあり、全体として少しぽってりとした靴に見える。ソールが厚いからなのか、コルクが詰まっているからなのか、底がしっかりしている感じがして路面の凹凸に対して足にやさしく、履き始めにしては想像以上に反りが良い。

靴そのもののつくりは至ってベーシック。靴を作るための基本を集めて作ったような靴。
ウェルト周りはきれいに仕上げられているし、レザーソール部分がステイン仕上げがされていたりちょっとしたこだわりが感じられる。この靴の立ち位置なら無くても十分なのではないかと思うけど、「ショーンハイト」であるが故かな。
仕上げはふつう。必要以上のコストを掛けずに手の届きやすい価格を実現するというのも経営手腕の見せ所。品質を担保するギリギリのところにしているようにも見えてこれは僕としてはありがたい。

手持ちのクリーム比較として、今回左足を M. Mowbray シュークリームジャー、右足をBoot Black(黒蓋)シュークリームで塗り分けてみた。ソールも左足はモゥブレイ、右足はブートブラックのものを使っている。
購入時点でお湯で固く絞ったタオルを使ってみたけれど、色がほとんど落ちない。仕上げはあまりされていないと思う。どうせ好きなクリーム塗るのだからこれで十分。
初回はクリームが良く入る。薄塗り3回繰り返して磨いてみた段階ではそれほどツヤツヤに光る感じでもなく、最初の状態と変わらない気がする。最初はそんなもんかな。このへんの細かい比較については改めて。

日本にはいい靴を作るファクトリーがたくさんあるし、実際にいい靴もたくさん売られている。
いわゆる本格靴という市場は国内全体ではまだそれほど大きくなくて、その市場では主に欧米製の人気が高い。
国産靴は垢抜けないイメージを持たれることがあったけれど、市場の成熟とともに創り手も切磋琢磨されるわけで、高級靴ブームがあったおかげで日本製の良さを活かした洗練された靴が増えてきたように思う。

欧米の靴に人気があるひとつの理由は、ジェームズ・ボンドがチャーチからクロケットアンドジョーンズになったことが話題になったり、オバマ大統領が初登庁にコールハーンを履いたことでアレン・エドモンズが「USA製ですら無いコールハーンで初登庁なんてがっかりだ」とコメント出したりとブランドにストーリーがあるということもある。トリッカーズなんて世界レベルの洒落者ともいえるチャールズ皇太子のワラントだからこれまたストーリーになる。

日本人はもともと日本製が好き。なにもジョン・ロブやベルルッティと真っ向勝負では無くても、天気を必要以上に気にしないで済むビジネスの心強い道具としての立ち位置ならこつこつと真面目に作られる日本製に分があると思う。形を真似てもブランドのストーリーは手に入らないのだから、もっと気軽に履ける正統な靴っていいなと。長く使えるしっかりとしたものづくりという点では国産って素晴らしいと思うのです。

ショーンハイトはベーシックな形、まっとうな素材ときちんとした作り、修理対応の安心感などふつうのサラリーマンにとってありがたい要素がたくさんある。
残念なのはためし履きをしての入手が困難なこと。国産靴の多くはいつもこれに直面してしまう。ペルフェットしかり、RENDOしかり、大塚のM-5しかり。通販主体の場合はサイズ選びと交換の手続きが面倒だなと二の足を踏んでしまうし、交換コスト(手間と金額)が気になってしまう。
靴って、一度フィッティングがわかれば次からは同ラストを通販で買うこともできる。でも、その一度目に到達するまでが大変。

ショーンハイトの最大のデメリットはここにある。ホームページを見ると三越で試着できそうな雰囲気だけれど、実際には置いていない。(僕は日本橋と銀座の三越に試着したくて行ったけれど、扱っていなかった。ホームページが紛らわしい。)
百貨店に卸したりするといろいろ制約があったり、この価格では提供できないなどの事情があるかもしれない。
スコッチグレインのオデッサやライトカーフあたりと比べてどうかという情報があったら結構通販でも売れそう。リーガルとの比較は流石に問題が出そうにしても、それ以外のブランドなら出してしまっても良さそうだけれど、そういうのは業界的にダメなのかな。

柏の本社で履いてみれば一発解決。大手町あたりからだと乗り換え入れて本社まで1時間30分弱。往復3時間を遠いとみるか近いとみるか。
僕は遠足のつもりで実際に行ってみた。あえて靴購入だけを目的としてしまうと往復交通費と時間が上乗せさせるので交換前提の通販のほうが気楽だけれど、都内の人だったらなんとか行ける距離かなと。
店舗とは違うので応対は朴訥な感じを受けたけれど、とても感じが良く時間があれば次回も訪問して買いたいと思う。

すべての革靴が高級靴を目指すのではなくて、必要十分なビジネスパーソンのためのオーソドックスな靴があってもいい。ショーンハイトのこの靴はそのど真ん中にあるように思える。
でも、東立製靴さんの目指すところの主力は素材、作りにもう少しこだわったパターンオーダーのドレスかな。

しばらく履いて特に大きな問題がなければオーダーもしてみたいな。普段履きからオーダーによるドレスまで懐深いショーンハイトは今後の注目株かと。


--------
今回購入のプレーントウモデル。
サイズ的には甲がよほど高い人でなければ01DRCDよりハーフサイズダウンくらいかも。感覚的にはW10BDJと同サイズくらい。



クリームは右左で塗り分けています。左足はM.モゥブレイ。


右足はブートブラック。デリケートクリームを使うのは最初だけ。後は水拭きしてから乳化性クリームのみ。


ブラシもクリーム塗り分けのために新調しました。